AUの音声回線をHWD13の持ち込み機種変更で WINシングル定額 WiMAX(シンプル)に変更した

AUが2015年3月現在販売しているモバイルルータは、「Wi-Fi Walker WiMAX2+ HWD15」および「Speed Wi-Fi NEXT W01」である。
しかしこれらの端末は WiMAX2+と au 4G LTEには対応するが、au 3Gには対応していない。
3Gでインターネットに接続するモバイルルータを入手するためには、旧型のモバイルルータを持ち込みで契約するしかない。

諸事情で3Gに接続できるモバイルルータが必要になったため、3Gに対応する機種を入手し、手持ちのAUの音声回線から機種変更することにした。
(新型Raspberry PiWindows 10が無償提供されることとなったので、遠隔地に設置したRaspberry PiのWAN接続に使いたい、というのが動機である。3Gでないとエリア外になってしまう場所はまだ多くあり、またジャンクのモバイルルータであれば、最悪無くなっても痛くない。)

AUの契約で最も安価に3G接続が行えるのは、HWD13、DATA08W、DATA01という旧型3機種向けに用意されている「WINシングル定額 WiMAX(シンプル)」*1である。
「誰でも割シングル」*2という2年縛りの割引を適用させることで、基本使用料が934円、パケット通信料上限額が5,477円(0.04円/パケット)で利用可能である。
また、後述するがAUが用意しているプロバイダ「au.NET」*3を利用する場合は月額500円が別途必要となる。
仮に全く使用しない月は月額934円、プロバイダ料を含めた上限は5,977円となる。(いずれも税抜。)
音声回線(AU社内ではデュアル契約と呼んでいる)と対応機種を持ち込んでの契約変更(データ通信のみの回線をAU社内ではシングル契約と、デュアル→シングルへの契約変更をシングル化、と呼んでいるようだ)には、既存契約がLTE(4G)の場合3,240円が、既存契約がWIN(3G)の場合は2,160円がかかる。


近所のジャンク屋でHWD13が一山いくらで安価に投げ売りされていたので、3台ほど入手してみた。
(某オークションでは何故かDATA08Wの落札相場が6〜8000円とあまり安くないが、HWD13は千円台でも手に入るようだ。HWD13の方が後継機種であるのに、DATA08Wが人気である理由はわからない。)

オールリセットしたHWD13の電源を投入し、PCに汎用のMicroUSBケーブルで接続すると、HWD13の内蔵メモリを仮想的なCDドライブとして認識してドライバがインストール可能となる。
ドライバをインストールすると、HWD13が有線LAN接続の一覧に「HUAWEI Mobile Connect - Network Card」として現れる。
HWD13はDHCPサーバとして動作しており、そのIPアドレスは192.168.1.1である。
ブラウザで192.168.1.1に接続すると、下記の画面が表示される。

公開されているマニュアル*4によれば、ユーザ名はadmin、パスワードは「製品に添付されているシールに記載のWEPキー」である。
しかしながらジャンク品である入手したHWD13には、当該シールは付属していなかった。
本機にはSSID1(WPA2/WPA)とSSID2(WEP)が設定されているが、本体のボタン操作で液晶に表示させることができるのはWPA2/WPAキーのみである。

このままではログインできないため、WEPキーがどのような仕様で設定されているのか調査したところ、数字5ケタであることが某オークションの商品画像より判明した。
ならばブルートフォースを仕掛けても100000回の試行で突破できるはずであるので、Wiresharkを用いて挙動を確認し、簡単なプログラムを作成してアタックしたところ、1台目は30分程度の試行で突破に成功した。
続いて2台目、と思ったところでふと気が付いた。
判明したWEPキー数字5ケタは、本機製造番号(本機背面下部に印字されている)の下5桁と同一であった。
よって2台目、3台目のアタックは回避することができた。

HWD13にログインできるようになったので、まずWLAN設定を変更する。
本機やDATA08Wは、初期設定で「au.NET」が接続先プロバイダとして設定されており、回線契約が生きている状態であれば電源を投入すると自動的に(強制的に)au.NETに接続される。
本機で利用可能なプロバイダとしては、公式には「au one net」などが挙げられている*5が、WiMAX接続を考慮しないのであれば「au.NET」と同様の接続方式である他のPacketWIN対応プロバイダ(ぷららIIJなど)*6でも接続が可能であろう。
いずれにせよ強制的に「au.NET」へ接続(これに伴い月額500円が課金される)されるのは何だか気に入らない(但し、PacketWinプロバイダは接続時間による従量課金のところも存在するので、au.NETはそこそこ安くて安心ではある)ので、本機の[WLAN設定]-[プロファイル設定]にダミーの接続先プロファイルを作成し、[接続設定]にてダミープロファイルを選択しておくことにした。これで自動的に「au.NET」には接続されなくなる。

その他の設定項目等を確認していたところ、本機の[設定]-[システム設定]-[バージョン情報]に、前所有者が契約していたと思われる電話番号が残っていることに気が付いた。

本機はSIMカードを挿入して利用するのではなく、本体のROMに契約情報が焼きこまれる所謂ROM機である。
前所有者が解約した際に、ROMの消去をAUに依頼していないようだ。
念のため表示される電話番号にかけてみたところ、2台は「お客様のおかけになった電話番号は現在使われておりません」とアナウンスされた。これは解約済なのであろう。
1台は「おかけになった番号は、お客様のご指定により、音声によるご利用はできません」とアナウンスされた。これは恐らく、前契約者が新たなモバイルルータに機種変更し、不要となった旧端末を売却したものと推測された。

この状態のHWD13を近所のAUショップに持ち込み、既存の音声回線を本機へ機種変更していただくようお願いした。
プランは「WINシングル定額 WiMAX(シンプル)」である。念のため確認したが、全く使用しない月は月額934円、プロバイダ料を含めた上限は5,977円となるのに間違いなかった。

最近ではROM機の存在自体珍しいのか、若干機種変更とそれに伴うHWD13へのROM書き込み(前契約者の電話番号をHWD13から消去し、筆者が持ち込んだ音声回線の電話番号を書き込む)の作業手順に担当の方は手こずっておられた。

一連の作業は、2007年頃のROM機全盛のころの某所*7の書き込みによれば次のような手順で行われるようだ。
PASCALとは、AU社内で利用されている顧客情報管理システムである。)
(2007年頃の手順であり、現在も同じかどうかはわからない。またPASCALの画面は当然顧客には見えないように設置されており、筆者が担当者に教えてもらった訳でも無い。)
一連の作業時には、HWD13のマニュアルには存在が記載されていない青色LEDが液晶で点灯する。

Q. 持込み機種変更時のROM消去の方法について知りたい。当該端末は全くの他人が持っていたもので、以前の持ち主の名義は不明。
A. ROMを消していない状態で持ち込み機種変更の登録を入れる。(ROM書き方法は必ずPASCALにする。)
  登録完了後、ROM書きをする前にROM消し業務を行う。
  ROM消しが正常終了したらメインメニューに戻り、総合メニューの「お客様照会業務」の中から「ROM書き承認番号照会」を選択する。
  そこで持ち込みした移動機の製造番号を入力すると「ROM書き」がクリック出来るようになるので、そこをクリックするとROM書き業務の画面に移行する。
  ケーブル接続してROM書きを実行。

前契約者が解約済みであった個体と、前契約者が機種変更を行ったと思われる個体について、手続きに差は生じず、前契約者からの譲渡の確認や入手経路の確認なども特になかった。
おそらくAU内部で個体の製造番号から契約情報が適切に管理されており、盗品でないなどの確認は取れているのであろう。
(当たり前ではあるが、持込み前にインターネットに接続が可能な個体については、前契約者の契約が生きている状態であり、良くて解約を忘れて売却された個体、悪くて盗品である。
このような個体では、前契約者から正規の譲渡の手続きが完了されていなければ自分の回線で使用することはできない。)

手続き完了後、改めて確認したが、各個体は自動でau.NETには接続されておらず、パケット通信料は0円のままであった。
PacketWINは廃れ行く接続形態ではあるが、まだ沢山のプロバイダがサポートしている。
ゆっくりとプロバイダを選ぶこととしよう。